数の子
1.数の子とは?
数の子はニシン(鰊)の魚卵の塊を天日干しして乾燥させた干し数の子やそのまま塩水漬けした塩数の子を言いいます。現在は干し数の子は製造時の手間暇や食べる時の難しさから余り製造はされてはいません。北大路魯山人はこの干し数の子を絶賛していましたが、高価な高級品であるために一般的には塩数の子が昭和30年代後半から主流になりました。それまでは天日干しの干し数の子でした。塩数の子でさえ近年はニシンの不漁が続き決して安い食材ではなくなりました。
数の子の名前の由来はアイヌがニシンを「カド」と呼んでいたことからだという説と卵の数が非常に多いために「カズの子供」となった説の二通りあります。いずれにしてもめでてたさを強調しているようです。日本人が数の子を食べ始めたのは古く、1500年代の室町時代にはすでに足利将軍が食していたと記録にあります。その後、縁起物としておせちや結納時の食材として広く一般に広がっていったようです。江戸時代には庶民も普通に食べていたようです。多分量がたくさん採れて安く、日持ちが良かったからだと思われます。
漁獲は北海道の開拓とともに増えていき明治半ばに最盛期を迎え、昭和初期まで北海道の日本海側は活況を呈しました。特に留萌・小樽の日本海側には鰊御殿と言われれる番屋大邸宅が立ち並びました。しかし、昭和三十年以降海流の変動か乱獲の影響かニシンは姿を消してしまい、カナダ、アラスカ、ロシア等で漁獲された数の子が主流になりました。それでも平成8年以降若干の回復の兆しが見られ、ここ数年は小樽沖では群来も一部復活し国内産の数の子も製造を増やしている。
尚、子持ち昆布はニシンが昆布に卵を産み付けたものをいいます。追い込んだニシンの群れに昆布を垂らすと習性から昆布に卵を産み付けます。ニシンの卵は粘着性が強くそのまま張り付きます。(数の子が固く固まっているのもその粘着性によるものです) 昆布に付いた数の子はそのまま塩分を加えた調味液で味付けしますが、現在日本に流通しているものはほとんどカナダ産です。ただ、回転寿司などで子持ち昆布と称されているものは「カペリン」というカラフトシシャモの卵を接着剤で昆布に貼り付けたものがあるそうです。(カラフトシシャモはシシャモの代用品で流通しているものです。本当のシシャモは高価です)本物のニシンの卵の子持ち昆布は値段も張るために代用されているようです。食べる時に少し注意してみてください。
甘エビ(ホッコクアカエビ)
甘エビは日本で一番お馴染みのエビかもしれません。正式名称はホッコクアカエビといいます。島 根県以北の日本海沿岸から宮城県沖の太平洋、オホーツク海、ベーリング海、カナダ西岸までの北太平洋などの300~1000mの深海に広く […]
数の子の栄養
(数の子は脳にいい!) 数の子は若返りの食品と言える成分をたくさん含みます。一言で脳にいい数の子と言えるでしょう。100g中の栄養成分です。 ●カロリー 162Kcal(ブタロースで291Kcal) ●タンパク質 25g […]
数の子の製造方法
(一般的な塩数の子製造方法) 市販の数の子は原料のほとんどは海外からの輸入です。数の子の製造法をカナダ産を例に紹介します。 カナダの太平洋沿岸にてニシンを刺し網にて漁獲 そのまま5、6時間にて加工工場に搬入する 魚卵を腹 […]
数の子の食べ方
(塩数の子はそのまま食べれません) 数の子の食べ方は難しいように思われていますが、簡単です。塩数の子は塩抜きをして後、そのまま食べるか味付け をして食します。塩抜きは薄い塩水(1Lに小さじ一杯の塩)で400gほどの数の子 […]
小樽塩数の子史
小樽で塩数の子が製造販売されたのは明治30年代でこれは恐らく日本国内では最も早い記録ではないかと言われております。それまでは数の子を天日干しした「干し数の子」が主流でしたが、水で戻すのに数日かかるため塩数の子は重宝される […]
ニシン
ニシン目ニシン科の海水魚で3、4年で産卵し成魚で30cm位になります。春に産卵のために日本の沿岸に近づくため「春告魚」とも言われています。ニシンの卵は古くは室町時代よりより珍重されて数の子としてめでたい食材として愛用され […]
身欠きニシン
ニシンの内蔵やエラ、中骨を取り除き3枚におろし身だけを干したものを[身欠きニシン」といいます。乾燥の度合いによって本干や7割、5割などのソフトタイプがあります。昔は十分乾燥させた本干が主体でしたが、最近は戻す手間などから […]
松前漬
(北海道の郷土料理) 道南の松前の郷土料理で松前藩時代に始まりました。数の子が大量に捕れた頃は余った数の子にこれも道産のスルメと昆布を切り込んで混ぜ、数の子が主体で塩で漬け込んだ簡単なものでした。現在は数の子が希少となり […]
群来
群来(くき)と読みます。北海道日本海沿岸で見られるニシンが産卵のため大群で 押し寄せ、産卵・放精によって海の色が乳白色になる現象で群来(くき)とよばれまます。昔はニシンが大量に押し寄せて、海は盛り上がり真っ白になったとい […]